カラーアトラス病理組織の見方と鑑別診断第6版

※追記私の勘違いでなければ、第5版まで普通にあった下垂体の疾患が丸ごと欠けています。何らかの手違いでしょうか。------病理学の初学者向けの書籍についてレビューさせていただいております。私は学生のときに本書の前版を読みましたが、今回の改訂でページ数の増加に圧倒されました。編集者もかなり変わっており、著者レベルで『組織病理アトラス』との重複が認められます。学生にも最高な格安の神参考書である『病理組織マップ＆ガイド』、および1冊で網羅性がある『組織病理アトラス』（文光堂）に加えて、本書『病理組織の見方と鑑別診断』が大幅改訂されました。150ページくらい内容も増えていて、それでいて値段が15000円前後に抑えられている。いきなりですが、この時点で非常に優れています。本書のコンセプトは、『組織病理アトラス』と同様に、"""1冊で全臓器の基本的疾患を網羅する日本語の本"""です。なので、WHOアトラスや鑑別診断シリーズ、みんな大好きアッカーマンなどと比べても仕方ありません。したがって、『組織病理アトラス』がメインの比較対象になると思います。【本書のメリット】・内容に比して破格の値段設定（『組織病理アトラス』よりも約10000円安い）・コモン疾患については写真が多く記述が丁寧・文章だけの疾患も含むと『組織病理アトラス』と同等の掲載疾患数・病理が好きであれば学生でも苦なく読める、読み物として優れている個人的な印象でレビューするのであれば、『組織病理アトラス』よりとっつきやすく、値段も含めて初学者に丁寧です。大幅に改訂されていますし、各章の冒頭の総論的記述はまさにタイトルに相応しい「病理組織の見方」です。ページ数は増えましたが、その分、いやそれ以上にかなり丁寧で力の入った改訂という印象を受けます。【本書のデメリット】・特に思い当たらない・強いて言えば、やや稀な疾患の写真がない『組織病理アトラス』は『病理組織マップ＆ガイド』に学生向けの内容を移植してプロ仕様にしたものなので、やや稀な疾患もちゃんと写真が掲載されています。とはいえ本書『病理組織の見方と鑑別診断』にもそれらの疾患については記述されており、存在を認識できないということはありません。コモン疾患に複数枚の写真が掲載されているという点では『病理組織の見方と鑑別診断』に軍配が上がります。病理が好きな学生でもまず『病理組織の見方と鑑別診断』を選ぶほうが良いでしょう。パラパラ読んでいて楽しいと思います。