strong>本, 柿栖 恒昭

によって 柿栖 恒昭

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ファイル名 : 現代絵画の再生.pdf

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　二〇世紀初頭は現代絵画の発展期でした。パリには多くの画家が世界各国から集まり、いくつもの画期的な描写法を次々と開発し、特色ある絵画運動を興しました。画家たちは生気にあふれ、批評家も画廊主も鑑賞者も高揚した気分の中にいました。 　二〇世紀後半では多くの画家たちはニューヨークに集まりました。ここでは新しい抽象画やポップアートと呼ばれた絵画やその他の特徴的な絵画が目まぐるしく現れて、数々の流行を作り出しました。絵画ビジネスは大いに栄えました。 　しかしながら二一世紀に近づくにつれていわゆる新しい絵画や力強い絵画運動は急速に姿を消していきました。現代絵画は今日まるで暗い袋小路に迷い込んだかのように停滞しています。特に絵画作品の質の低下が著しい、見る者の胸の奥まで深く染み渡っていくような上質な作品は少なくなってきました。代わりに見る者の目を一瞬驚かす、まるで奇抜なビックリ箱のような作品が増えて今では世界中にあふれています。具象であろうと抽象であろうと絵自体に魅力がなくなって、その代り、色や形や線などの本来絵を構成する手段が主役のようにふるまって、刺激的な視覚効果をふりまいています。これは主従の逆転現象といえるでしょう。 　この「原因」は何なのでしょう。何故、現代絵画は元気を失って低迷を続けているのでしょう。この深刻な状況を打開して再び活気ある絵画世界を取り戻すにはどうしたらよいのでしょう。どんな方法を採ったらよいのでしょう。この論文は現代絵画のこれらの疑問を解明し、そしてその再生のための必要な指針を手に入れようとする試みです。　この疑問を解決するために行うことの一つは現代絵画の本質を明確に定義することです。何故なら今日の絵画界は液状化現象を引き起こしており、異なる目的を持つ絵画が互いに浸食し合い、それぞれの境界線がほとんど消滅しているからです。例えば、現代絵画と主題画と装飾画は本来、それぞれ異なった目的や表現を持っていますが、それらの区別がほとんど消えて、互いに混ざり合い一つのものになっています。卑近な言い方をすれば八百屋に野菜と一緒に鯛や平目が並んでいるようなものです。そのため特に現代絵画は多くの不純物にまみれて本来の姿は消えて、それはまるで水が無くて萎れた花のようになっている。ですから本質の定義を明確に打ち出すことで現代絵画をきれいに洗濯し、不純物を取り除き、真の姿を取り戻すのです。これは画家が描く規範を、鑑賞者が見る規範を、そして批評家が批評する規範を取り戻すことを意味します。　この問題を解決するもう一つの試みは作品理解のために相応しい評価基準を設定することです。それは正確な作品批評や鑑賞をもたらし、現代絵画の素晴らしさを論理的に証明することです。何故なら、過去一世紀に渡り、絵画界には明確な批評基準が存在しなかったからです。言わば批評家の数だけ基準は存在した。ですから今日まで作品理解は全く恣意的に行われ、誤解やあいまいな解釈が横行してきた。これは批評家たちの怠慢を意味します。この論文では客観的で公平な評価基準を提示します。それは五つの基準です。すべての現代絵画の作品はこの五つの基準で正確に理解されます。例外はありません。これにより誰もが正確で深い作品理解ができるようになるでしょう。これはこの論文の核心です。この評価基準の導入により現代画家たちは安心を手に入れ、自信をもって創造活動に專念できるようになるでしょう。それは現代絵画の再生にきっと役立つであろうと確信しています。　この二つの試みは縦糸と横糸のように絡まりながらこれまで見たことのない新しい現代絵画の像を描き出します。それは新しい絵画観の構築であります。それは過去五百年間、存在しなかったものです。美しく整理整頓された絵画世界の中で現代絵画がもう一度、力強く飛翔するよう期待しています。

以下は、現代絵画の再生に関する最も有用なレビューの一部です。 この本を購入する/読むことを決定する前にこれを検討することができます。